おかいさんといっしょ

おかいさんが極めて個人的なことを吐き出すからいっしょういっしょにいてくれやみたいなブログ

伝説のシゲちゃん南国タックル

『台パン』というのはゲーム筐体等を殴る行為である。

言うまでもなく大抵の場では御法度とされる行為であるが、悲しいことに頭に血が上った獣たちがバイオレンスアクションにはしる場面は今なお散見される。

しかし私は怒りの発散とは別の目的で台に打撃を与える人達がいたことを知っている、それはもう10年以上前の話。

 

その昔、『南国育ち』というパチスロ台があった。簡単に説明するとパチスロはメダルを賭けてレバーを叩き、図柄を揃えてコインを増やす遊技である。そしてこの南国育ちは蝶のランプが搭載されており、これが光るとコインが増える合図となっていた機種である。

 

蝶のランプを光らせようと、多くのスロッター達は夢中になってレバーを叩いた。そしてランプが光れば良いというシンプルさゆえに様々なオカルト打法も誕生していった。

シンプルに力強く叩く「強打」、逆にソフトタッチの「弱打」、下から上方向にレバーを操作する「ライジング」等それぞれが思い思いのスタイルでレバーを操作していたが、南国育ちばかり打っていたシゲちゃんと呼ばれる老人が過激な方法を編み出した。それは台の下から突き上げるように体全体でぶつかってレバーオンするという方法で、シゲちゃんいわくランプ点灯率が3割増しになるらしい。

 

それは単なる偶然だったが、その日シゲちゃんはその打法で点灯率100%を記録してしまう、そしてオカルトスロッターの間であっという間にシゲちゃんの打法が広まった。

 

異様な光景である、南国育ちコーナーでは老人達が台の下にしゃがみこんでは懸命にタックルを繰り返しているのだ。離れた場所にいても地響きのようにドォンドォンと鳴っている、なんかもう山奥の村に伝わる伝統行事みたいだ。私も離れた場所から見ていたが南国育ちにタックルを繰り返す老人にあわせてソイヤソイヤと合いの手でも入れたくなる。

 

ほどなくして台へのタックルは禁止された、あたりまえである。台の破損防止はもちろんのこと、店の片隅で汗を流しながら台にタックルするおじいちゃん達という奇祭が繰り広げられれば客足も遠のくというものだ。

 

余談だがタックル禁止はメダルを出したくない店による不当な対処だと、シゲちゃん含む老人達が鼻息を荒げていたらしい、ひょっとしたら店長に南国タックルが牙をむいたのだろうか、今ではそれを確かめる術は無い。

  

 

てらこり (白猫序級者&甘酒推奨人) @ddmtera04 さんのお題『台パン』より